3月10日(土)、11(日)の2日間、福島県いわき市勿来地区で開催された『なこその希望 鎮魂祭』に参加してきました。「福島県は悪天候のため着陸できない場合もあります」というアナウンスに不安を抱きつつ・・・AM9:40千歳空港出発。
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午後からの出番に間に合うのか心配をしていましたが、ほぼ予定通りに無事福島空港に到着しました!ここからレンタカーで会場へ。会場は岩間町被災地区内にある常磐林業跡地。福島県の中でも津波の被害が一番ひどかった地区で、10名の方が亡くなり、いまだ3名の方の行方が分かっていないそうです。
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冷たい雨の中たくさんの人が集まっていました。メインステージは土で作られた土台にアーティストの繪魯洲さんが作った素敵な柱のオブジェが飾られたとても雰囲気のある立派な仮設舞台。雨よけのために大きなブルーシートがかけられていました。私たちが到着した頃には少し雨も小降りになっていましたが、当日の朝まで強い雨と風で開催も危ぶまれるような状況だったそうです。スタッフの方たちの苦労がしのばれます。悪天候により出演できなかった団体などもあり、タイムスケジュールがずれ込んでいました。あしり座もすぐに舞台準備をして出番です。
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『伊達娘恋緋鹿子 火の見櫓の段』上演。みぞれ交じりの雨の中傘を差しながら観ていただきました。
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午後に予定されていた、西川古柳師匠の車人形、座頭のパペットショーは、急遽午前中に上演することになり、午後から参加したあしり座後発隊は観ることができませんでした。その他にも地元の高校生によるフラダンスなど、大変な寒さの中笑顔で踊る高校生に、観客の皆様からは大歓声が送られたそうです。
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会場には、勿来地区の被災直後の様子やこれまでの活動の様子がわかる写真展がありました。福島というと原発問題のイメージが大きいですが、津波による被害も大変なものであったことを改めて感じました。
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会場内に設置された祭壇。外を覆っている白いシートは、仮設住宅で使用されていたテントを再利用しています。すべて手作りで作られた鎮魂祭の会場は、地元の方やそれを支える方たち、沢山の方の想いが込められた空間でした。
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ステージは、大きなメインステージと、そのすぐ横に小さなサブステージが設置されていました。和太鼓、人形浄瑠璃、バンド演奏などさまざまなジャンルによる連続公演でしたが、お客様に余計な間を持たせないようにという配慮から、メインステージが準備中の時はサブステージで公演・・・というように常にステージ上で何かをやっているという状況が作られていました。下記の写真はこの舞台のコーディネーター勘緑氏による人形解説。勘緑さん自らマイクを持って人形を持って・・・と会場中を駆け回っていらっしゃいました。ものすごい情熱とバイタリティーです。
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会場の各所に設置されたドラム缶の焚き火。観客、出演者、スタッフみんなで火を囲み暖をとりました。
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10日のラストステージは、金春流の能『羽衣』。冷たい雨と風の中での野外ステージでしたが、それを微塵も感じることのないプロの舞台。とても美しかったです。天女の舞の頃には、いつの間にか雨があがり明るい光が差し込みました。芸能には何か説明のできないとても強い力がある。そう感じさせてくれる舞台でした。
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1日目終了。明日はこのままの青空で。晴れやかな1日でありますように。