「冥土の飛脚」(近松門左衛門作)を元に改作されたものです。
大阪淡路町の飛脚問屋(金の運搬業)亀屋の養子忠兵衛は、新町の遊女梅川と深い仲となり、公金横領をして追われる身となってしまいました。当時、公金横領は死罪相当の罪です。 忠兵衛は身請けした梅川を伴って、生まれ故郷の大和の新口村へたどり着きました。旧知の忠三郎の家に隠れて外の様子を窺っている二人の前を、忠兵衛の実父・孫右衛門が通りかかり、雪に足を取られて転んでしまいます。出るに出られない忠兵衛に代わって、梅川が飛び出して手厚く介抱しますが、その様子から孫右衛門は、この女中が梅川であることを悟ります。孫右衛門は、忠兵衛と会えば養子親や世間への義理から自分の手で息子を役人へ差し出さねばならぬ、どうぞ自分の目の届かないところで捕まってくれ、と金を渡して二人で逃げるように言い含めるのでした。気持ちを察した梅川は、孫右衛門に目隠しをして二人を引き合わせます。親子が手に手を取り合った時、梅川はとっさに目隠しを取り、孫右衛門と忠兵衛は今生の別れにしっかりと抱き合いました。追手の人音が聞こえてきます。裏道から二人を逃がした孫右衛門は、降りしきる雪の中、二人が無事に逃げおおせることを願って、泣き崩れるのでした。
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