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2009-08-13

傾城恋飛脚 新口村の段(けいせいこいびきゃく にのくちむらのだん)

「冥土の飛脚」(近松門左衛門作)を元に改作されたものです。
大阪淡路町の飛脚問屋(金の運搬業)亀屋の養子忠兵衛は、新町の遊女梅川と深い仲となり、公金横領をして追われる身となってしまいました。当時、公金横領は死罪相当の罪です。 忠兵衛は身請けした梅川を伴って、生まれ故郷の大和の新口村へたどり着きました。旧知の忠三郎の家に隠れて外の様子を窺っている二人の前を、忠兵衛の実父・孫右衛門が通りかかり、雪に足を取られて転んでしまいます。出るに出られない忠兵衛に代わって、梅川が飛び出して手厚く介抱しますが、その様子から孫右衛門は、この女中が梅川であることを悟ります。孫右衛門は、忠兵衛と会えば養子親や世間への義理から自分の手で息子を役人へ差し出さねばならぬ、どうぞ自分の目の届かないところで捕まってくれ、と金を渡して二人で逃げるように言い含めるのでした。気持ちを察した梅川は、孫右衛門に目隠しをして二人を引き合わせます。親子が手に手を取り合った時、梅川はとっさに目隠しを取り、孫右衛門と忠兵衛は今生の別れにしっかりと抱き合いました。追手の人音が聞こえてきます。裏道から二人を逃がした孫右衛門は、降りしきる雪の中、二人が無事に逃げおおせることを願って、泣き崩れるのでした。

2009-02-15

壺坂観音霊験記 沢市内より山の段(つぼさかかんのんれいげんき さわいちうちよりやまのだん)

 相手を想う心が互いに通じ合ったとき、観音菩薩が奇跡を起こす、夫婦の愛の物語です。

 大和の国に壺阪に住む沢市(さわいち)は幼い頃にかかった疱瘡(ほうそう)で盲目ですが、献身的で美しい女房のお里が針仕事など内職をして、夫婦で慎ましく暮らしていました。
 あるとき、沢市は毎夜、家を空けるお里にほかの男ができたのではないかと疑い、責めます。お里は沢市の目が治るようにと壺坂寺の観音にお参りを続けていたと告白します。お里の真心を知った沢市は自分を恥じ詫び、二人で壺阪寺にお参りすることにしました。
 三日間断食すると言って沢市は一人残り、三年祈願しても治らない自分の目に絶望しお里が幸せになるようにと、谷底に身を投げます。それを知ったお里は悲観して・・・。

日高川入相花王 渡し場の段(ひだかがわいりあいざくら わたしばのだん)

 安珍(あんちん)、清姫(きよひめ)の道成寺(どうじょうじ)伝説を題材としたお話です。

 次期天皇の桜木親王は、安珍と名を変えて、命を狙う一派から逃れていました。
 やがて、紀の国は熊野の庄司のもとに逃げて来た安珍は、恋人と巡り会い道成寺へと向かいました。ところが、庄司の娘清姫が桜木親王とも知らず安珍に恋していたのです。嫉妬した清姫は、すぐに安珍の後を追います。
 夜、清姫は日高川へさしかかりました。道成寺へはもうすぐですが、川の流れにさえぎられて途方に暮れてしまいます。すると、岸辺に一艘の船と船頭が見えました。喜んだ清姫は船頭に川を渡してくれるように頼みます。しかし、船頭は、安珍から清姫が来ても川を渡さないよう頼まれていましたので、泣きながら懇願する清姫を冷たくあしらいます。
 安珍への思いが断ち切れない清姫は・・・。 

寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)

 寿式三番叟はもともと能の演目である「翁(おきな)」を下敷きとしています。また、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を祈るご祝儀舞であるため、主に幕開きの時に演じられます。
 はじめに千歳(せんざい)が露払いを舞った後、三番叟が田植えを舞う「揉(も)みの段」が続き、最後に千歳が三番叟に鈴を渡し、種まきを舞う「鈴の段」となります。
 千歳の静かで優美な舞と、三番叟による足拍子高く大地を踏みしめて稔りの精霊を呼び覚ます舞や、抱えた枡から種をまき、豊かな実りと生命の繁栄を祈る躍動的な舞は対照的で、見比べてお楽しみください。